テレビジョンとインターネット
当時、知人に面白くない話や、あまりにも普通の話をされると、私は笑いながら右手でつまみを握るような格好をして、手首を右に回すことがありました。
テレビのチャンネルを回して、違う番組に変えるしぐさです。
無言で「話が面白くない~。フツー」と伝える、なんとも失礼なゼスチャーでした。
今、普通に考えれば失礼極まりない話ですが、当時は価値観の違う二人が、仕事のことも日常のことも、笑いながら何でも話せる間柄だったからこそ、通用していたのだと思います。
今では、テレビのチャンネルを「回す」と言っても、ピンとこない方も多いかもしれません。
テレビ放送は、映像や音声を電波に乗せて、放送局から各家庭へ届ける仕組みです。昔のテレビは、テレビ本体のダイヤルを回して、受信する電波の周波数を合わせていました。だから「チャンネルを回す」という言葉が生まれたのですね。
日本でテレビの本放送が始まったのは、昭和28年(1953年)。当時、白黒ブラウン管のテレビは、家に一台あるだけでも誇らしい高級品だったそうです。大切な家具のように扱われ、近所の人が集まってテレビを見ることもあったと聞きます。詳しくは、国立公文書館「テレビ放送が始まる」をご覧ください。
その後、カラーテレビになり、リモコンでチャンネルを変えられるようになり、地上デジタル放送へと変化しました。現在の地上デジタル放送は、主にUHFという電波帯を使って届けられています。屋根や外壁に付いているアンテナは、その電波を受け取るためのものです。
そして今は、アンテナを立てず、光回線を利用してテレビ放送を見る方法もあります。
これは、インターネットの動画配信を見ることとは少し違います。光ファイバーの回線を通して、地上デジタル放送やBS・CS放送を家庭まで届ける「光テレビ」という仕組みです。テレビ端子や受信設備を通して、対応するテレビで視聴します。
地域や契約内容によって条件はありますが、アンテナが不要になり、外観がすっきりすることや、アンテナの台風被害を心配しなくてよいことは、家づくりの中でも一つの選択肢になります。詳しくは、NTT西日本「フレッツ・テレビ」をご確認ください。
私が建築業界に入った30年近く前は、「どのお部屋にテレビ端子を設けますか」と伺うことが、電気打ち合わせの一つでした。
インテリアプランを任され、新築の電気プロット図を描くようになった頃には、各居室にテレビ端子を入れることが、わりと普通になってきていました。
けれど今は、スマートフォンやタブレットで映像を見ることが当たり前の時代です。
私はコロナ前後から、子ども部屋として使われる居室には、必ずしもテレビ端子は必要ではないのではないでしょうか、とご案内するようになりました。
もちろん、ご家族の暮らし方によります。テレビでゲームをする、録画した番組を見る、将来は個室にもテレビを置きたい。そのようなご希望があれば、端子があった方が安心です。
一方で、使う予定がない場合は、あえて入れないという選択もあります。建築会社様によっては標準仕様のため減額にならない場合もありますが、反映される会社様では、数万円の予算を別のところへ回せることもあります。
「必要なものを、必要なところに。いらないものは、入れない。」
私の仕事は、決められたものをただ当てはめることではなく、お客様がご自身の暮らしに合った判断をできるよう、きちんとご説明することにもあると思っています。
それは、対面して、しっかりお話を伺うことでしかできないことです。
打ち合わせとは、そういうものなのだと思います。
かつては冗談で、人の話をチャンネルを回すしぐさで切ってしまっていた私ですが、今は「傾聴」の大切さを、以前よりずっと意識しています。
樹樹サポートがお話しするのは、インテリアの装飾だけではありません。そのご家族が、どんなふうに暮らしたいのか。
家づくりに必要なのは、最新の設備だけではなく、何を大切にしたいのか。
そんなお話を、どのタイミングで伺えるかによって、家づくりは大きく変わります。
だからこそ、家づくりの最初に交わす傾聴と対話は、欠かせないのです。
✿✿✿ 空間 × 人 × 色 ✿✿✿
奈良県橿原市を拠点に活動する樹樹サポートは、家づくり・リフォーム・店舗づくりをサポートするインテリアコーディネーターです。暮らしやすさとデザインのバランスを大切に、一人ひとりに合った住まいづくりをご提案しています。奈良で住まいやインテリアに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。


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