学校で今も習うお話でしょうか。
『徒然草』は、吉田兼好が日々感じたことや、人との付き合い、暮らし、人生について、自由に書き残した随筆です。
「つれづれなるままに」という有名な書き出しには、「することもなく、心に浮かんだ取りとめのないことを書いている」という意味があります。
昔の文章ですが、今の私たちの暮らしにも通じる気づきがたくさん詰まった作品です。
今回は、『じゅじゅの徒然草』の初回として、本家『徒然草』にあるお話にふれたいと思います。
仁和寺にある法師の話
徒然草には、仁和寺にいたある法師が、石清水八幡宮へお参りに出かけた話があります。
法師は、山の上へ多くの人が向かう様子を見ても、誰にも尋ねませんでした。
「自分の目的はお参りなのだから、寄り道はしない」と考え、ふもとのお寺や社を拝んで帰ってしまいます。
けれど、石清水八幡宮の本宮は山の上にありました。念願だったお参りなのに、法師は肝心の本宮を見ないまま帰ってしまったのです。少し尋ねていれば叶えられたことを、確かめないまま終えてしまいました。
今と違い、当時の旅は、思い立てば気軽に出かけられるものではなかったでしょう。年齢のことも考えると、せっかく訪ねた石清水八幡宮の本宮を見ないまま帰ってしまった法師が、もう一度そこへ足を運べたかどうかは分かりません。
だからこそ私は、このお話には、知ったつもりで大切なことを見過ごし、あとで悔いを残さないように――そんな兼好法師の思いも込められているように感じます。
少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。
遠回りに見えても、詳しい人に尋ね、確かめながら進むこと。そんな心がけは、今の私たちの暮らしにも、そっと役立ってくれるのではないでしょうか。
家づくりでも、暮らしでも、「これで合っているかな」と立ち止まり、尋ねてみることで見えてくることがあります。
千年近く前に書かれた随筆の中に、今の私たちにも通じるこんな気づきがあることを、私はとても面白いと思います。
『じゅじゅの徒然草』では、建築やインテリアのことに限らず、仕事や奈良での暮らし、何気ない日常の中で心に残ったことを、自分なりの言葉で少しずつ書いていきたいと思います。
取りとめのない話もあるかもしれませんが、ふと立ち寄って、気軽に読んでいただける場所になればうれしいです。
✿✿✿ 空間 × 人 × 色 ✿✿✿
奈良県橿原市を拠点に、住まい・店舗のインテリア相談、家づくりの相談、図面作成を行う「樹樹サポート」です。インテリアコーディネーターとして、暮らしや想いに合う空間づくりをご提案します。
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