「その土地の「色」と「風」―奈良で暮らす、私たちが大切にしたいもの」

奈良県橿原市の香久山とその麓に広がる田畑の風景

日本には47の都道府県があり、それぞれの場所に固有の「暮らし」があります。
私はこの仕事に携わって以来、地元・奈良で暮らすお客様との対話の時間を大切にしてきました。

「狭い日本」と言われることもありますが、住まいの“当たり前”は地域ごとに驚くほど違います。

例えば、古都・奈良には海がありません。
そのため、私自身の経験の中に潮風を考慮した住まいづくりはありませんし、毎年雪かきが必要なほどの積雪もありません。
もし雪国の住まいを考えるなら、その土地のことを一から学び直す必要があります。

昨今は、SNSの影響で情報がリアルタイムに全国へ広がるようになりました。
しかし、SNSによる情報の同期と、地に足のついた地域性は、やはり別物として存在し続けます。

私が地域密着にこだわる理由の一つは、同じ土地で暮らし、同じ風を感じているからこそ、言葉にしきれない「生活の感覚」を共有できると考えているからです。
奈良県内でも、北和・中和・南和といった地域ごとに違いがあります。特にお客様とお話ししていると、この土地ならではの穏やかな県民性を感じることがあります。

「あまり目立たず、無難な色使いで」

そんな言葉の中には、周囲との調和を大切にするやさしさが込められているように思います。
けれど、「自分らしさを表現する」ということは、決して特別なものをつくることではありません。
その方の個性が、日々の暮らしや空間の中に、心地よい「色」としてなじんでいくこと。

私はそんなあり方を大切にしています。

空間、人、そしてその土地が持つ色が丁寧につながることで、住まいはより心地よいものになります。地元で暮らす一人として、信頼関係を大切にしながら、これからも住まいづくりに関わっていきたいと考えています。

このコラムでは、奈良にお住まいの方はもちろん、県外の方にも「自分の地域はどうだろう」と
感じていただけるようなお話をお届けしていきます。
もしよろしければ、皆様の地域の風土や習慣についても、ぜひ教えていただけるとうれしいです。
少しコアでマニアックな視点も多くなるかと思いますが、住まいと暮らしを考える一つのきっかけとして、気軽に楽しんでいただければ幸いです。

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